
トイレタンクから水漏れが発生した際は、まず応急処置を施しましょう。
そのうえで今後の被害拡大を防ぐためには、さまざまな種類がある原因のうち、ご自宅のトイレに当てはまるものをきちんと特定したうえで適切に修理することが大切です。
目次
トイレタンクの水漏れが発生した際の応急処置
トイレタンクの水漏れがすでに発生している場合は、以下の手順に従って迅速に応急処置を行ってください。
トイレタンクの水漏れ発生時の応急処置の手順
- 止水栓を閉める
- トイレタンク内の水を抜く
- 濡れた箇所を拭く
まずは、止水栓を閉めて水の供給を止めます。
止水栓は、トイレタンクから壁や床に伸びて接続している給水管のバルブのことで、マイナスドライバーを使って右に回すと閉められます。
次に、通常使用するのと同様にレバーを操作して、トイレタンク内の水を抜きましょう。
これでまずは、水漏れが止まります。
水漏れによって濡れた箇所がある場合は、これを拭き取り、応急処置は完了です。
応急処置が完了したあとは、不具合を根本的に解決するために、水漏れの原因を特定します。
しかし、トイレタンクの水漏れが起こる原因は多様なため、修理すべき箇所を正確に把握するには、排水が行われるメカニズムをある程度理解しておく必要があります。
トイレタンクの構造と仕組み
まずは、トイレタンクの構造と仕組みを簡単に押さえたうえで、原因の特定に移りましょう。
トイレの水を流すときは、トイレタンク内にある以下の5つの部品が相互に作動することで排水が行われています。
トイレタンクの構造と仕組み
| トイレタンク内の部品 | 役割 |
| レバーハンドル | 操作すると鎖でつながっているフロートバルブが開き、排水口から水が流れる |
| フロートバルブ | 排水口をふさぎ、トイレタンク内の水を貯めるゴム製の栓。レバーを操作して開くと排水口から水が流れる |
| ボールタップ | 浮き球と連動してボールタップの給水弁が開閉し、手洗い管から水を流してトイレタンク内の水量をコントロールする |
| 浮き球 | トイレタンク内の水位に合わせてボールタップと連動し、給水弁の開閉をコントロールする |
| オーバーフロー管 | トイレタンク内に設置されている筒状の部品で、トイレタンク内の水位が規定よりも高くなるのを防ぐ。水面から2~3cm程度の高さまで伸びており、この高さを超えると、オーバーフロー管から排水口に水が流れる |
水漏れが起こっている場合は、上記の部品が適切に作動していないことが考えられます。
【ケース別】トイレタンクの水漏れの原因を特定する方法
トイレタンク内にある部品とその役割を踏まえたうえで、水漏れが起きている際によくみられる3つのケースを例に原因を特定していきましょう。
トイレタンクの水漏れが起きている際にみられるケース
- ケース①水の流れる音が止まらない
- ケース②異音がする
- ケース③床が濡れている
ケース①水の流れる音が止まらない
トイレタンクの排水口から便器に水が断続的に流れる場合は、以下のような原因が考えられます。
考えられる原因
- レバーハンドルの不具合
- フロートバルブの不具合
- レバーハンドルとフロートバルブをつなぐ鎖の不具合
- ボールタップの不具合
- オーバーフロー管の不具合
レバーハンドルやフロートバルブが劣化・破損していると、排水口をきちんとふさぐことができず、水が流れてしまうことがあります。
また、2つの部品をつなぐ鎖が破損している場合も、フロートバルブが正しく作動せず、同じような現象が起こるでしょう。
排水口だけでなく、オーバーフロー管から水が流れつづけるケースもあります。
たとえば、ボールタップが正しく機能していないと、トイレタンク内の水量が規定を超え、オーバーフロー管から水が漏れてしまうのです。
また、オーバーフロー管自体が破損・劣化している場合は、規定内の水位であっても水が流れます。
ケース②異音がする
トイレタンク内から「シューシュー」という異音が聞こえる場合は、下記の部品に不具合が生じているのかもしれません。
考えられる原因
- ボールタップの不具合
- 浮き球の不具合
ボールタップが劣化や破損により正常に作動していない場合や、接続する浮き球が正しく機能していない場合は、トイレタンク内から異音が発生することがあります。
ケース③水漏れで床が濡れている
トイレタンクの水漏れにより、床が濡れている場合は、主に以下の原因が考えられます。
考えられる原因
- 給水管の接続部(ナット・パッキン)の不具合
- トイレタンク本体の破損
トイレタンクと給水管をつなぐ接続部分のナットや、その内側にあるパッキンが劣化・破損していると、その隙間から水が漏れることがあります。
接続部やトイレタンク内の部品に問題がない場合は、トイレタンク本体にひび割れや穴が空くなどの破損が生じているかもしれません。
トイレタンクの水漏れをご自身で修理する方法
ご紹介したような水漏れが発生している場合は、不具合が起こっている部品を点検・交換することで修理できます。
本項では、ご自身でも実践できる7つの各部の修理方法を見ていきましょう。
基本的には、原因となっている部品を交換することで、水漏れを修理できます。
部品は、ホームセンターやネット通販などで購入可能です。
なお、紹介する手順は概略となっておりますので、正しく修理するには、製品付属の手順書従ってください。
トイレタンクの水漏れをご自身で修理する方法
- レバーハンドルの修理方法
- フロートバルブの修理方法
- ボールタップの修理方法
- 浮き球の修理方法
- 接合部分(ナット・パッキン)の修理方法
- オーバーフロー管の修理方法
- トイレタンク本体の修理方法
レバーハンドルの修理方法
レバーハンドルは、以下のものを用意し、手順に従うことで簡単に交換可能です。
用意するもの
- ドライバー
- ゴム手袋
- 新品のレバーハンドル
修理手順
止水栓を閉める
- フロートバルブを引っ張ってトイレタンク内の水を抜く
- 古いレバーハンドルを取り外す
- 新品のレバーハンドルを取り付ける
- 止水栓を開く
- 排水して作動を確認する
まずは、止水栓を閉めてフロートバルブを引っ張り、トイレタンク内の水抜きを行います。
その後、フロートバルブとつながる鎖を外し、レバーハンドルを交換します。
レバーハンドルは製品によって仕様が異なるため、説明書に記載されている順序で取り付けてください。
交換後は、止水栓を開いてレバーハンドルを操作して排水を行いましょう。
レバーハンドルおよびフロートバルブが問題なく作動すれば、修理は完了です。
フロートバルブの修理方法
トイレタンクの排水口をふさぐフロートバルブが劣化している場合は、下記を用意し、適切な手順で修理しましょう。
用意するもの
- ドライバー
- ゴム手袋
- 新品のフロートバルブ
修理手順
- 止水栓を閉める
- トイレタンク内の水を抜く
- 古いフロートバルブを取り外す
- 新品のフロートバルブを取り付ける
- 鎖の長さを調整する
- 止水栓を開く
- 排水して作動を確認する
トイレタンク内の下部にあるフロートバルブの交換作業は、オーバーフロー管をはじめとする周囲の部品を破損させないよう慎重に行ってください。
交換後、正常に排水できるようにレバーハンドルと接続する鎖を適切な長さに調整したら、止水栓を開いて排水し、作動を確認します。
ボールタップの修理方法
ボールタップの修理に必要なものと手順は、以下の通りです。
用意するもの
- ドライバー
- モンキーレンチ
- ゴム手袋
- 新品のボールタップ
修理手順
- 止水栓を閉める
- トイレタンク内の水を抜く
- 止水栓に接続されている給水管を取り外す
- 古いボールタップを取り外す
- 新品のボールタップと交換する
- 給水栓をボールタップに接続する
- 止水栓を開く
- 排水して作動を確認する
トイレタンクの水抜きが完了したら、まずはレンチで給水管とボールタップの接続部分のナットを緩め、給水管を取り外します。
その後、ボールタップをトイレタンク内に引き込むようにゆっくりと取り外し、説明書に従って新品のボールタップと交換してください。
給水管を元通りに接続したら、止水栓を開栓して排水・給水が適切に行われているのかどうかを確認しましょう。
トイレタンク内でも比較的大きな部品を交換する作業となりますが、構造自体はシンプルなため、困難な作業ではありません。
浮き球の修理方法
浮き球は、以下に道具を用意することで簡単に修理できます。
用意するもの
- ドライバー
- ゴム手袋
- 新品の浮き球
修理手順
- 止水栓を閉める
- トイレタンク内の水を抜く
- 古い浮き球を取り外す
- 新品の浮き球を取り付ける
- 止水栓を開く
- 排水して作動を確認する
トイレタンク内の水を抜いたら、ボールタップにつながっている浮き球を取り外しましょう。
なお、浮き球は単品でも購入することができますが、フロートバルブとセットで販売されているのが一般的です。
別途購入する場合、規格が異なれば適切に作動しない可能性もあるため、ボールタップごと交換するのがおすすめです。
接合部分(ナット・パッキン)の修理方法
給水管とボールタップの接合部分(ナット・パッキン)の修理は、以下のものを用意して行います。
用意するもの
- ドライバー
- モンキーレンチ
- ゴム手袋
- バケツ
- タオル
- 新品のナット・パッキン
修理手順
- 止水栓を閉める
- トイレタンク内の水を抜く
- 水漏れ箇所にバケツ・タオルを置く
- ナット・パッキンを交換する
- 止水栓を開く
- 排水して作動を確認する
ナット・パッキンを取り外す際は、中の水が外に漏れ出る可能性があるため、バケツやタオルを置いておきましょう。
交換自体は簡単にできますが、必ずトイレの規格に合った部品を用意してください。
オーバーフロー管の修理方法
オーバーフロー管の修理手順は、以下の通りです。
ここまでご紹介してきた各部の修理方法よりも難易度が高い作業となるため、ご自身で行う場合は手順を間違えないようにご注意ください。
用意するもの
- ドライバー
- レンチ
- ゴム手袋
- 新品のオーバーフロー管
修理手順
- 止水栓を閉める
- トイレタンク内の水を抜く
- ボールタップおよび浮き球を取り外す
- フロートバルブを取り外す
- ハンドルレバーを取り外す
- トイレタンクを便器から取り外す
- 古いオーバーフロート管を取り外す
- 新品のオーバーフロート管を取り付ける
- トイレタンクを便器に取り付ける
- ハンドルレバーを取り付ける
- フロートバルブを取り付ける
- ボールタップおよび浮き球を取り付ける
- 止水栓を開ける
- 排水して作動を確認する
オーバーフロー管を交換するには、便器と接続されているトイレタンクを取り外す必要があります。
水抜き後は、まずレバーハンドルやフロートバルブ、ボールタップなどの部品をすべて外したあと、トイレタンクを取り外します。
オーバーフロー管を交換したら、トイレタンクおよび各部品を元通りに取り付け、正常に作動するか確認しましょう。
トイレタンク本体の修理方法
破損したトイレタンクの修理は、以下の手順で行っていきます。
用意するもの
- ドライバー
- ゴム手袋
- タオル
- 防水性パテ
修理手順
- 止水栓を閉める
- トイレタンク内の水を抜く
- 修理する箇所の水分をふき取る
- パテを塗って乾燥させる
- 水を注いで漏れがないかどうかを確認する
- 止水栓を開ける
- 排水して水漏れがないかどうかを再度確認する
応急処置と同じ要領でトイレタンクの水を抜いたら、破損している箇所の水分をしっかりと拭き取りましょう。
その後、説明書に従って防水性パテを塗り、乾燥させ、排水して確実に修理できているのかを確認してください。
ただし、この方法で修理できるのはトイレタンクの小さなひび割れに限られます。
また使用しているうちに、修理箇所から再度水漏れが発生する可能性もあるため、業者に依頼してトイレタンクを交換してもらうのがより確実です。
ご自身での修理が難しい場合は
トイレタンクの水漏れを、ご自身で修理するのが難しい場合は、水道修理業者に依頼しましょう。
特に、オーバーフロー管の交換は難易度が高い作業です。
また、ご自身で部品を交換してもトイレタンクの水漏れが止まらない場合は、再度原因を特定して作業をやり直さなければなりません。
スムーズかつ確実にトイレタンクの水漏れを修理したいときは、プロに任せるのが安心です。
トイレタンクの修理にかかる費用の相場
水道修理業者に依頼した際にかかる費用は、修理する箇所によって異なります。
修理費用の一般的な相場は、パッキンの交換や部品の調整なら3,000円程度ですが、トイレタンクの交換となれば100,000円程度と高額です。
修理内容によって必要な作業が異なるため、費用には幅があります。
また、別途でスタッフの出張費が必要なことも考慮しておきましょう。
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修理を依頼する水道修理業者を選ぶ際に確認すべきポイント
ここからは、水道修理業者を選ぶ際に確認しておくべき4つのポイントをご紹介します。
水道修理業者を選ぶ際に確認してすべきポイント
- ポイント①水道局指定工事店かどうかを確認する
- ポイント②複数の業者で相見積もりを取る
- ポイント③費用の内訳や修理内容が明瞭かどうかを確認する
- ポイント④すぐに対応してくれるのかどうかを確認する
ポイント①水道局指定工事店かどうかを確認する
トイレタンクの水漏れの修理を依頼する際は、検討している水道修理業者が“水道局指定工事店”であるかどうかを確認しましょう。
水道局指定工事店とは、水道法に基づいて水道工事を適切に行えると、各地方自治体の水道局から認定された水道修理業者のことを指します。
水道局指定工事店ではない水道業者とは異なり、作業できる範囲が広いため、修理中に思わぬ故障が見つかった場合にも適切に対処してもらえます。
ポイント②複数の業者で相見積もりを取る
複数の水道修理業者に見積もりを依頼し、費用を比較することも業者を選ぶ際の重要なポイントです。
同じ箇所の修理であっても、業者によって費用は異なります。
できる限り費用を抑えたい場合は、複数の水道修理業者に見積もりを依頼して比較することで、コストパフォーマンスに優れた業者を見つけられます。
ポイント③費用の内訳や修理内容が明瞭かどうかを確認する
費用の内訳や修理内容を、きちんと提示してくれている水道修理業者かどうかを確認することも大切です。
水道修理業者のなかには、他社と比べても明らかに高額な費用を請求する悪質な業者も存在します。
たとえば、電話やメールで修理費用について確認したにもかかわらず、明確に示さない水道修理業者は、悪質業者である可能性があります。
また、作業内容や見積もりを事前に提示せずに作業を始めようとする場合は、本来必要のない作業を実施し、高額な請求を提示してくるケースがあるので要注意です。
ポイント④すぐに対応してくれるのかどうかを確認する
水道修理業者に依頼する際は、実際に修理してもらえるまでの期間を確認しましょう。
トイレのトラブルは、早期に解決できるに越したことはありません。
ご自身では対処できないトラブルが発生したのにもかかわらず、水道修理業者による修理が2日後や3日後になるのは避けたいところです。
水道修理業者によっては即日の作業が難しい場合もあるため、緊急時には、はじめに即日の作業が可能かどうかを確認してみてください。
トイレタンクの水漏れを予防するには?
ここまで、ご自身でできるトイレタンクの修理方法と、水道修理業者に依頼する際に押さえておきたいポイントをご紹介してきました。
万が一、トイレタンクから水漏れが起こった場合でも、これらを知っておくことで十分に対処できるはずです。
とはいえ、場合によってはトイレタンクの修理費用は高額となるため、水漏れは予防できるに越したことはありません。
ここからは、トイレタンクの水漏れを予防する以下の3つの方法を解説します。
トイレタンクの水漏れを予防する方法
- 定期的にメンテナンスを行う
- 部品を交換する目安を把握する
- タンク内に異物を入れない
定期的にメンテナンスを行う
日常的にトイレの室内や便器は掃除していても、トイレタンク内のメンテナンスまで行っている方は多くないのではないでしょうか。
トイレタンク内も室内や便器と同様、使用に伴って汚れが蓄積するため、定期的な清掃が大切です。
清掃と同時に作動確認を行えば、異常を早期に発見しやすくなるほか、どの部分に異常が発生しているのかを特定するのに役立ちます。
水漏れを予防するには、トイレタンク自体の定期的なメンテナンスを行うことが欠かせません。
部品を交換する目安を把握する
部品の交換時期を把握しておくことも、トイレタンクの水漏れを予防するポイントの一つです。
以下は、先述したトイレタンクの部品を交換する目安です。
| トイレタンク内の部品 | 交換目安 |
| レバーハンドル | 10~15年程度 |
| フロートバルブ | 7~10年程度 |
| ボールタップ | 7~10年程度 |
| 浮き球 | 8~10年程度 |
| オーバーフロー管 | 10~15年程度 |
なお、水質や使用頻度によって交換時期は異なるため、上記は参考程度にとどめ、不具合があれば早めに交換するように心がけてください。
タンク内に異物を入れない
トイレタンク内に異物を入れないことも、トイレタンクの水漏れを予防する方法の一つです。
トイレットペーパー以外のものを流さないのはもちろんのこと、ほかにも気を付けたいケースが存在します。
たとえば、トイレの節水方法として「トイレタンク内にペットボトルを入れる」というものがあります。
ペットボトルを入れることでトイレタンク内の水量が減り、水道代を抑えられるというものです。
しかし、トイレタンクはそうした使い方を想定して作られていないため、トイレの思わぬ故障を招くリスクもあるのです。
深刻なトラブルが起これば、ご自身で修理できないどころか、水道修理業者に依頼した場合の修理費用も高額になる場合があります。
このような状況に陥らないためにも、トイレタンク内に余計なものは入れず、本来の使い方を心がけてください。
トイレのトラブルでお困りの際は、みんなの町の水道職人にお任せください
今回は、トイレタンクの水漏れが起こった原因を特定する方法と、修理方法を解説しました。
トイレタンクの水漏れが発生した場合は、まず迅速に応急処置を施しましょう。
その後、不具合のある箇所を特定し、必要に応じて修理や交換を進めます。
しかしなかには、修理しても水漏れが止まらない場合や、ご自身では困難な作業が必要とされる場合もあります。
このような場合には、水道局指定工事店に認定されている“みんなの町の水道職人”にお任せください。
経験豊富なスタッフが迅速に駆け付けて、お客様の快適な暮らしをサポートいたします。



