地上だけじゃないトイレ事情┃宇宙・空・海のトイレから学ぶ水まわりの重要性【水道職人:公式】|みんなの町の水道職人

地上だけじゃないトイレ事情┃宇宙・空・海のトイレから学ぶ水まわりの重要性【水道職人:公式】

私たちの生活に欠かせないトイレですが、近年のニュースでは登山や屋外での排泄マナーが問題視される場面も増えています。
自然環境への配慮や衛生面の観点から、トイレの処理方法はますます重要なテーマとなっているのです。

では、地上以外ではどのように排泄物が処理されているのでしょうか。
宇宙・空・海といった特殊な環境では、重力や水圧、閉鎖空間といった条件が地上とは大きく異なり、トイレの仕組みも変わります。

そこで本記事では、空や海、そして宇宙といった地上以外の特殊な環境におけるトイレの処理方法を詳しく解説いたします。
さらに、ご家庭でのトラブル防止にもつながる「排水の基本」についても触れていきます。

地上以外のトイレが難しい理由とは?

まず押さえておきたいのは、地上とそれ以外の環境では「排水の前提」がまったく異なるという点です。

トイレは本来、水と重力によって汚物を流す仕組みです。
しかし、宇宙や空、海ではその前提が崩れます

主な違いを整理すると以下の通りです。

環境問題となる要素影響
宇宙無重力水が流れない
気圧・重量制限水の使用量を抑える必要がある
水圧・閉鎖空間逆流や排泄物の処理の制限

このように、それぞれ異なる課題に対応するため、特殊な排泄処理技術が開発されています。

宇宙のトイレ┃無重力で排泄物をどう処理する?

宇宙では重力がない(無重力)ため、水を流して排泄物を流すことができません。
そのため、空気の流れを利用した「吸引方式」が採用されています。

宇宙のトイレの仕組み

  • 宇宙ステーションでは以下のような形で排泄や排泄物の処理を行います。
  • 身体を固定するための足掛けやベルトを装着し、身体が浮き上がらないようにする
  • 尿の場合は専用のホースをあてがい、吸引スイッチをオンにして排泄
  • 便の場合は小さな穴の開いた便座に密着し、空気の気流で吸い込ませる
  • 排泄後は専用の袋に密閉するか、装置内で処理を行い再利用システムへ送る

特に重要なのは固体と液体の「分離」です。
液体は尿処理装置(UPA)で加熱し、ろ過や蒸留によって再利用され、飲料水などとして再利用されています。

宇宙ではなぜこの仕組みが必要なのか?

無重力状態である宇宙では、排泄物が空間に漂ってしまう危険があります。
これにより、機器の故障や衛生を損なうリスクが高まってしまうのです。

そのため、確実に処理するために吸引し、密閉することが重要となります。

航空機のトイレ┃空の上での排水処理の工夫

航空機(飛行機)のトイレも、水を大量に使用することはできません。
重量制限と安全性の観点から、効率的な排泄物の処理が求められるのです。

航空機のトイレの仕組み

航空機では、以下のような仕組みを持つ「真空式トイレ(バキューム式)」が採用されています。

  • 少量の水で流す
  • 強い吸引力で排泄物を回収
  • 専用タンクに貯留
  • 着陸後に地上で処理

航空機のトイレで誤解されやすいポイント

かつては「空に排泄物を放出している」といった誤解がありましたが、現在は密閉管理されています。

そのため、空の上でも適切に排泄できる環境が整っているのです。

航空機のトイレはなぜ真空式なのか?

飛行中は気圧が低く、通常の排水では流れが不安定になります。
真空式トイレは、負圧(真空)の力を利用して排泄物を一気に吸引し、配管内を高速でタンクへ搬送する仕組みを持つため、空という空間でもトイレが使用できるのです。

航空機のトイレで気をつけたいトラブル対策

万が一、機内でトイレがつまると、運航に影響を及ぼし、引き返しやダイバートが発生する可能性があります。

航空機のトイレは安全に使用し、トラブルを起こさないことがとても重要です。

【航空機のトイレでトラブルを起こさないための対策】

  • 備え付けのトイレットペーパー以外は、絶対に便器へ投入しない
  • おむつや生理用品などの異物は、必ず専用のゴミ箱へ廃棄
  • 洗浄ボタンを押す際はフタを閉めてから行い、飛沫の飛散を防ぐ

また、航空会社が掲示しているトイレの使用方法を必ず守るようにしてください。

航空機でトイレの使用方法を守るということは、安全な運航を守ることでもあるのです。

参考:飛行機のトイレ使用ガイド┃Vietjet Air

船舶や潜水艦のトイレ┃海の中での排水の難しさ

海上や水中のトイレでは、水圧と環境規制が大きな課題になります。

船舶のトイレ処理

一般的な船舶では、以下のような方法で排泄物を処理します。

  • 船内のタンクに一時貯留
  • 浄化と消毒処理を行う
  • 上記を実施の上、陸地から一定以上の距離を離れるという基準を満たした後、海上で排出

海洋汚染防止の観点から、未処理の排泄物の排出は厳しく制限されています。

そのため、船舶では上記のような方法で排泄物を処理し、環境汚染を防いでいるのです。

なお、排泄物を海上に排出するときの距離は「国際条約(MARPOL条約)」で定められた、「陸地から一定以上の距離(3海里〜12海里以上)」を離れ、さらに「航行中(船が動いている状態)」であるという基準を満たす必要があります。

皆さまは、2013年2月にメキシコ湾で起こった、カーニバル・トライアンフ号の漂流をご存じでしょうか。

この豪華客船は火災で電力が使用できなくなり、約4000人の乗客や乗組員が、数日間にわたり船内で過ごすことになりました。

電力が十分に使用できない状況の中で、トイレ設備にも大きな影響が生じ、衛生環境の悪化が問題となりました。

この出来事は、後に「プープクルーズ」とも呼ばれ、トイレ設備の重要性を象徴する事例として知られています。

約13年前の出来事ですが、近年Netflixでドキュメンタリー化もされており、船内におけるトイレ処理の難しさや重要性を知ることができる内容となっています。 

参考:‘Poop Cruise’ Passengers Relive Infamous Trip 12 Years Later — From Going ‘Number 2’ in Bags to Sewage Spills┃People

潜水艦のトイレの特徴

潜水艦は深い海の中に潜水しているため、外からは大きな水圧(海圧)がかかっています。

そのため、トイレの排泄物をそのまま外に排出しようとすると、水圧で押し戻されてしまうのです。

潜水艦のトイレは水圧での押し戻しなどを防ぐために、一度艦内のタンクに汚物を貯め込んだ後で、圧縮空気の力を利用して外海へ押し出すという方式を採用しています。

この方法は、「加圧式」または「ブローアウト方式」と呼ばれている方法です。

圧力を加えて外海の水圧よりも高い圧力をタンク内にかけなければ、汚物が艦内に逆流してしまうため、処理に必要なバルブの操作には細心の注意が求められます。

潜水艦でのトイレの操作手順

潜水艦でのトイレ操作は命に関わることもある重大な作業のため、厳格なルールが設けられています。

一般的な操作の手順は、以下の通りです。

  • 排泄した後はバルブを開き、汚物を艦内の「耐圧タンク」へ安全に移動させる
  • タンクと便器の間のバルブを完全に閉じ、逆流を防ぐために「密閉状態」を作る
  • 圧縮空気をタンク内に注入し、外の水圧に打ち勝つための高圧状態にする
  • 潜水艦の運用に影響を与えないタイミングで、外部へ排出するためのバルブを開き、圧力差を利用して海中へ排出する

バルブの開閉順序を間違えると、海水や汚水が艦内に噴出する大事故につながるため、確実な操作が不可欠です。

なお、船舶と同様に、海中に排泄物を排出する際は、MARPOL条約の定めに従う必要があります。

参考:伊号第29潜水艦とスバス・チャンドラ・ボース┃関西大学学術リポジトリ

潜水艦でトイレトラブルが起きる理由

水圧が高いため、排出のタイミングを誤ると海水が逆流します。
これはご家庭の排水でも起こる「逆流トラブル」と原理は同じですが、潜水艦の場合艦内に汚物が逆流すると運航に影響を及ぼす可能性があり、乗組員の健康や安全を脅かすこともあるのです。

ご家庭の水まわりにも通じる┃排水トラブルの3つの共通事項

宇宙や空、海のトイレは実際に使用することがなければ遠い世界の話のように感じるかもしれませんが、実はご家庭の水まわりにも共通する重要なポイントがあります。

それは「流す力」「密閉性」「逆流防止」の3つの項目です。

ご家庭のトイレなどの水まわりでトラブルが起きる主な原因

  • 排水の勾配不足
  • 空気の流れの不具合
  • 封水切れ
  • 配管のつまり など

これらは、宇宙や潜水艦と同様に「流れの制御」がうまくいかないことで発生します。

関連記事:トイレの水が流れずに便器に溜まる!原因と対処法は?

ご家庭でできる予防手順

以下の手順で日常的に確認することで、ご家庭で起こりやすい水まわりトラブルを未然に防ぐことが可能です。

  • 排水口に水を流して流れの速さを確認する
  • ゴボゴボ音がしないかチェックする
  • トイレの水位が安定しているか確認する
  • 定期的に排水口を清掃する
  • 異物を流さないよう注意する など

一見シンプルに見える対策ですが、これらを怠ることで水まわりのトラブルは発生しやすくなるため、これらに注意することは有効な対策だと言えるでしょう。

トイレなどの水まわりでトラブルが起きてしまった場合の対応手順

もしもご家庭の水まわりで排水異常などの不具合を感じた場合は、早めの対応が重要です。

【効果的な初期対応】

  • 止水栓や水道の元栓を閉め、水の使用を一時停止する
  • 排水の流れやトイレの水位を確認する
  • 水溶性のものが原因の軽度のつまりであれば、ラバーカップを使用する
  • 改善しない場合や水に溶けないものが原因の場合は、無理に作業をせず水道修理業者に連絡する

無理な対処は、配管の破損やトラブルの悪化につながる可能性があります。

また、原因が固形物などの水に溶けない異物の場合、ご自分で対処しようとすると悪化してしまうことが多いため、ご自分での対処は控えた方がよいでしょう。

これらの場合は早めに水道修理業者に相談することで、トラブルの早期解決につながります。

関連記事:トイレのつまりを除去する道具と使用方法を紹介

トイレの仕組みに関するQA

ここでは、トイレの仕組みやトラブルに関して、皆さまからよく寄せられる疑問にお答えいたします。

Q1.宇宙のトイレの水は本当に再利用されているのですか?

はい、尿や汗などの水は、日本時間で2009年5月21日から水再生システムにより再利用されています。
高度なろ過や蒸留ができるシステムによって、安全な水として循環利用されているのです。

参考:ISSでは尿を処理して飲料水にしているとのことですが、安心して飲めるのでしょうか?┃JAXA

Q2.飛行機のトイレは外に捨てているのですか?

現在はタンクに貯留され、地上で適切に処理されています。
飛行中に外へ排出することはありません。

Q3.自宅のトイレでゴボゴボ音がするのはなぜですか?

排水管内の空気の流れが乱れている可能性があります。
つまりや通気不良が原因であることが多いため、早めの確認および水道修理業者へ依頼するなどの対応が必要です。

極限の環境から学ぶ水まわりの本質と備え

宇宙や空、海といった環境では、トイレは単なる設備ではなく、「生命維持の一部」として扱われています。
そのため、排泄物の流れを制御し、確実に処理するための技術が徹底されているのです。

これは、ご家庭の水まわりにも通じる重要な考え方です。
普段は意識しない排水の仕組みですが、一度トラブルが起きると生活に大きな影響を与えます。

違和感を感じた段階で早めに対応することが、被害を最小限に抑えるポイントです。
もしご自分での対応が難しい場合は、「みんなの町の水道職人」などの水道修理業者への相談もご検討ください。

水まわりは皆さまの生活と密接につながっています。
だからこそ、正しい知識と日常の点検が、快適な生活を支える大きな力となるのです。

関連記事:世界のトイレ事情とは?多様な文化と水まわりの工夫を知る

※本記事でご紹介している方法は、一般的な対処法の例です。
作業を行う際は、ご自身の状況や設備を確認のうえ、無理のない範囲で行ってください。
記事内容を参考に作業を行った結果生じた不具合やトラブルについては、当社では責任を負いかねます。
少しでも不安がある場合や、作業に自信がない場合は、無理をせず専門業者へ相談することをおすすめします。

監修者

朝長 大輔

主任

朝長 大輔

《略歴》

弊社指定の水道メンテナンス研修プログラムを履行し、数多くの現場を経験することで実践的なスキルや最新の技術に関する知識を身に付けてまいりました。
コラムではこれまでの経験から深い理解と実践的なノウハウをもとに水道メンテナンスに関する専門的な知識を広く普及させることを目指しています。
屋外の水回りトラブルでお困りでしたら「みんなの町の水道職人」にお任せください。

《保有資格》

給水装置工事主任技術者

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