
2026年3月14日の午前、広島県江田島市で地下約3メートルに埋め込まれた水道管から水が漏れ出し、道路が陥没するという深刻な事故が発生しました。
破損した水道管は送水管という、浄水場でキレイに処理された水を呉市の配水池に運ぶための水道管です。
そのため、呉市では市街地へ給水するための配水池に水を送れなくなるという事態に陥ってしまいました。
一時的に配水池に残った水を使用して給水を維持していたものの、15日午前には配水池の水が足りなくなったため、音戸地区(おんどちく)と倉橋地区の一部で断水が始まりました。
近年、老朽化した水道管によるトラブルが相次いでおり、14日に広島県で起こった送水管の破損事故のニュースを見て、ご自分が住んでいるエリアは大丈夫なのかと不安に感じた方もいると思います。
送水管などの水道管の破損は、私たちの生活に直結する深刻な問題です。
今回は、普段の給水がどのように行われているのかを解説しつつ、送水管トラブルの原因や具体的な対策について詳しく深掘りしていきます。
目次
普段の水道はどのようにご家庭へ届くのか?

水道水は、川やダムなどの水がそのままご家庭へ届いているわけではありません。
水源から浄水場を経て、配水設備を通り、最終的にご家庭の蛇口へと届けられます。
ここでは、水が届くまでの基本的な流れを紹介します。
水道水が届くまでの基本的な流れ
| 段階 | 役割 |
| 水源 | 川やダムなどから原水を取り入れる |
| 浄水場 | ろ過や消毒を行い安全に飲める水道水にする |
| 送水管 | 浄水場から配水池へ水を送る |
| 配水池 | 水を一時的に貯めて安定供給を行う |
| 配水管と給水管 | 配水池から地域の道路下を通り、各ご家庭へと水を届ける |
このように、水道は段階的な仕組みで運用されています。
中でも、特に重要なのが、送水管と配水池の存在です。
送水管は浄水場と配水池をつなぐ太い水道管であり、都市の水供給の大動脈のような役割を担っています。
そして配水池は、水を一時的に貯めておく大きな貯水設備です。
この設備があることで、各ご家庭やビル、施設などに安定して配水することができるのです。
配水池が持つ重要な役割
配水池は、ただ水を貯めておくだけの施設ではありません。
地域の水の使用量に合わせて水圧を一定に保ち、安定した給水を行うための心臓部とも言える存在です。
朝や夕方など、多くの方が一斉に水を使用する時間帯でも水圧が下がらないのは、配水池が機能しているおかげです。
また、災害時や送水管のトラブル時には、配水池に残っている水を使用して一定期間給水を維持する役割も担っています。
送水管って何?破損して起こるトラブル

送水管は、浄水場から各地域の配水池へ水を送るための大口径の水道管です。
直径が数十センチ~1メートルを超えるものもあり、都市の給水を支える重要な設備です。
送水管が破損する主な原因
送水管は強固に作られていますが、以下のような原因で破損することがあるでしょう。
【送水管が破損する主な原因】
- 老朽化による腐食
- 地震や地盤沈下などの地盤変動
- 工事による損傷
- 内部水圧の変化
- 温度差による膨張収縮
特に古い送水管では、長年の使用により金属の劣化が進み、破損のリスクが高い傾向があります。
送水管が破損すると起こるトラブル
送水管が破損すると、以下のような問題が発生します。
【送水管の破損で起こるトラブル例】
- 浄水場から配水池へ水が送れなくなる
- 地域の水圧が低下する
- 広範囲で断水が発生する可能性
- 道路冠水などの二次被害 など
送水管が破損すると、配水池への水の供給が完全にストップします。
配水池に貯まっている水があるうちは各ご家庭で水を使用できますが、その貯えが底をついた瞬間に大規模な断水が始まってしまうのです。
また、破損箇所から泥や不純物が混入し、濁った水が水道から出てくる二次被害が発生することもあります。
配水池の役割とは?

送水管が破損した際に「配水池の水を使用している」と言われるのは、この設備が水道の安全装置のような役割を果たしているためです。
配水池は、水を一時的に貯めておく巨大なタンクのような設備です。
平時は各ご家庭へ安定した水圧で水を供給するために活用されていますが、非常時は一時的な貯水タンクとしての役割を担っています。
配水池は数時間~十数時間程度(配水池の規模による)使用できる位の水を蓄えていることもあり、送水管の破損時や地震などの自然災害時でもすぐに断水しない仕組みを築けているのです。
【配水池が存在している理由】
- 水の需要変動を調整する
- 水圧を安定させる
- 災害やトラブル時の備え
- 水道設備の負荷を減らす など
例えば、朝や夜は水の使用量が増えます。
一方、昼間は使用量が減る傾向があります。
配水池があることで、この変動に合わせて調整し、安定した水圧を維持できるのです。
送水管破損時の給水の流れ

送水管が破損した場合、各自治体の水道局は以下のような手順で対応します。
送水管破損時の基本的な対応
【送水を再開するための対応手順】
- 送水管のバルブを閉める
- 漏水箇所を特定する
- 配水池の水で給水を継続する
- 修理工事を実施する
- 送水を再開する
この間、ご家庭では通常通り水を使用できる場合もあります。
ただし、配水池の水量には限りがあるため、長時間の復旧作業になると節水の呼びかけが行われることもあります。
給水地点の設置
送水を再開するまでに時間がかかる場合、各自治体の水道局は断水という事態に対応するために、給水地点を設置します。
給水地点の設置は自治体のウェブサイトやSNS、防災メールなどでアナウンスがあるため、断水の恐れがある場合は定期的に確認しておくようにしましょう。
また、病院や避難所などは給水車が給水に回ることもあります。
給水地点や給水車で水を受け取るためには、タンクなどの水を入れる容器が必要です。
断水の恐れがある場合は、事前に飲料水用に使用できるタンクなどの大きめの容器も準備しておいた方がよいでしょう。
ご家庭の水まわりにも影響はある?

送水管の破損は大規模なインフラトラブルのため、ご家庭の水まわりにも影響が出ることがあります。
発生する可能性のあるトラブル
【ご家庭で起こり得るトラブル】
- 水圧が弱くなる
- 水が濁る
- 一時的に断水する
- エア噛みによる蛇口の異音 など
特に配水の復旧直後は、給水管などの水道管内の流れが変化するため濁り水が出ることがあります。
この場合は、しばらく水を流し続けることで改善するケースがほとんどですが、改善が見込めない場合は、各自治体の水道局や水道修理業者に相談しましょう。
断水が発生したときの対応
断水のアナウンスがあった場合や、急に水が出なくなった場合は、以下の作業手順で落ち着いて対処してください。
【断水発生時の対処手順】
- 手順1:ご家庭の止水栓や元栓を閉める
断水復旧時に空気が混ざった勢いのある水や濁り水が急に流れ込み、給湯器などの水まわり設備が故障するのを防ぐために、止水栓や元栓を閉めておきましょう。 - 手順2:自治体の公式情報を確認する
給水地点の確認や復旧の目処について、正確な情報を各自治体のウェブサイトやSNS、防災メールなどで集めてください。 - 手順3:トイレの処理方法を確保する
断水時にトイレを使用すると、汚物を流せず、トイレの衛生環境が悪化します。
トイレを使用する際は浴槽の残り湯を使用するか、非常用トイレを準備して使用してください。
非常用トイレを使用する場合は、便器の中に直接排泄するのではなく、便器の中にビニール袋を設置してから使用するようにしましょう。 - 手順4:復旧後は蛇口を開けて確認する
復旧後は屋外の散水栓などを少し開け、空気抜きを行い、同時に濁り水が出ないか確認してから室内の水まわり機器を使用してください。
なお、復旧後にトイレを最初に使用すると、給水管に入り込んでいる空気の影響でトイレが故障する恐れがあります。
必ずトイレ以外の蛇口を開けて空気抜きをしてから使用してください。
水圧が低下したときの確認手順
もし水圧が急に弱くなった場合は、以下の手順で確認してください。
【水圧の確認手順】
- 近隣でも同じ症状があるか確認
- 各自治体の水道情報を確認
- ご家庭の止水栓が閉まっていないか確認
- 給湯器などの水まわり設備に異常がないかを確認
地域全体で水圧の低下が発生している場合は、送水管の破損などの水道インフラのトラブルの可能性があります。
一方で、水圧の低下はご家庭の設備が原因というケースも少なくありません。
例えば以下のようなトラブルが起こっているときです。
【ご家庭の水まわり設備が原因の水圧低下】
- 蛇口内部の詰まり
- 給湯器フィルターの詰まり
- 止水栓の閉まり過ぎ
- 配管内部のサビ など
このような場合は、水まわり設備の点検や修理が必要になることがあります。
水まわりのトラブルは、早めに対処することで被害の拡大を防げることがほとんどです。
水道インフラにトラブルが起こっていないときや、自然災害が発生していないにもかかわらず水圧が低下している場合は、水道修理業者に相談することで、原因を特定できるでしょう。
関連記事:トイレの水圧はどのくらい必要?弱い強いの目安とトラブル対策
平時から行うべき備えの整理

第217回国会でも、水道管の老朽化や更新の遅れが課題として指摘されており、送水管を含む水道インフラの老朽化は全国的な課題となっています。
こうした背景からも、突然の断水に備えた準備が重要だと言えるでしょう。
水道インフラの破損といういざというときのトラブルに慌てないためには、日頃からの備えが不可欠です。
ここでは目的別の具体的な準備内容を整理していきましょう。
| 目的 | 具体的な対策内容 | 必要な目安量 |
| 飲料水の確保 | 長期保存が可能なミネラルウォーターを備蓄する | 一人あたり1日3リットルを最低3日分 |
| 生活用水の確保 | 入浴後すぐにお湯を抜かず、浴槽に水を張ったままにする | 浴槽1杯分程度 |
| 衛生環境の維持 | 非常用トイレセットや除菌ウェットティッシュを常備する | 一人あたり1日5回分を最低3日分 |
このような備えをしておくことで、送水管の破損という突発的なトラブルにも冷静に対応できるでしょう。
送水管の破損は自然災害とは異なり、スーパーやコンビニエンスストアなどの物流は止まらないため、ミネラルウォーターなどは補充され続けます。
また、インターネット通販でも手に入ります。
しかし、多くの方が同時に求めると需要が供給を上回るため、製品の製造が追いつかずに手に入らないという状態になることもあるでしょう。
そのため、起こってから準備するのではなく、起こる前に準備することがとても大切です。
参考:第217回国会 国土交通委員会 第2号(令和7年3月14日(金曜日))┃衆議院
送水管の破損や断水で起こる水まわりのトラブルに関するQ&A

最後に、送水管の破損や断水に関して、よく寄せられる疑問にお答えします。
送水管が壊れると必ず断水しますか?
必ず断水するわけではありません。
多くの地域では配水池に水が貯められているため、一定時間は給水が継続されます。
ただし修理に時間がかかる場合は、節水の呼びかけや断水が行われることもあります。
配水池の水は安全なのでしょうか?
配水池の水も浄水場で処理された、安全に飲める水道水です。
衛生管理が徹底されており、安全性に問題はありません。
水が濁ったときはどうすればよいですか?
復旧作業の後は、水道管内のサビや沈殿物が流れることがあります。
最初は少量から確認し、数分程度水を流し続けることで改善することがほとんどでしょう。
しかし、長時間続く場合は給水管などの水道管で何かトラブルが起こっている可能性があるため、各自治体の水道局や水道事業者へ相談してください。
水道インフラを知ることは水まわりトラブルの理解につながる!

私たちが当たり前に使用している水道は、送水管や配水池など多くの浄水設備によって支えられています。
特に送水管は都市の水供給を担う重要な設備であり、破損すると大きな影響が出る可能性が否めません。
しかし、配水池などの仕組みがあることで、突然の断水を防ぐ対策が取られています。
水道インフラの仕組みを知ることで、ニュースで報じられるトラブルの意味も理解しやすくなるでしょう。
そして、ご家庭の水まわりで起こる水圧低下や水漏れなどのトラブルもまた、生活に直結することがあるため、早めの点検・修理が重要です。
水まわりの不調は放置すると壁や床の腐食、階下漏水などの二次トラブルにつながることもあります。
ご家庭の水まわり設備に不安を感じたときは、早めに「みんなの町の水道職人」などの水道修理業者へ相談することで、安心して生活できるでしょう。
「みんなの町の水道職人」では、ご家庭の水まわりトラブルに迅速に対応していますので、気になる症状がある場合はお気軽にご相談くださいませ!
関連記事:トイレの水漏れやつまりの修理だけじゃない!?水道修理業者に依頼できる内容とは
※本記事でご紹介している方法は、一般的な対処法の例です。
作業を行う際は、ご自身の状況や設備を確認のうえ、無理のない範囲で行ってください。
記事内容を参考に作業を行った結果生じた不具合やトラブルについては、当社では責任を負いかねます。
少しでも不安がある場合や、作業に自信がない場合は、無理をせず専門業者へ相談することをおすすめします。












